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(30) 義民与五兵衛の碑 :三津屋
水門の故障を直すため、水門の底に潜り、身を呈して3700ヘクタールの耕地を冠水から救った。
天保11年6月26日(1840年)、信濃川大増水の時、ここ、古樋川三津屋樋管では、自然に閉まる筈の門扉が閉まらず破堤の恐れがでてきた。
その原因をさぐるため濁流に飛び込んだ小須戸組三津屋の平川与五兵衛(25才)は、「古樋のワッチョ(大蛇)が邪魔をしている。追い払うため大鎌で斬りかかる。相討ちになって死んでも必ず門扉は閉める」と言って大鎌を持って再び樋管の所へ潜った。門扉は閉まり、数千町歩の田畑と民家は水没をまぬかれたが、与五兵衛は心臓をえぐり取られ水底に沈んだ。
数年続いた天保大飢饉に、飢えの惨めさ、苦しさを知っていた与五兵衛が身を捨ててまで護ろうとしたのは、白い飯の食える豊かな村だったにちがいない。
平成3年(1991年)、地元の有志たちにより“与五兵衛を偲ぶ会”がつくられ、新津郷土地改良区、新津中央農業協同組合はじめ、多くの住民の方々から寄せられた浄財により鎮魂・顕彰の碑が建立された。
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